大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和29年(オ)478号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人高野三次郎の上告理由について。

原判決が、所論佐藤倉吉名義の所有権保存登記の後、同一不動産についてなされた上告人の保存登記の効力を否定した点において、所論のように民法一七七条の解釈を誤つた違法ありとすることはできない。原判決認定の事実関係に基く、同条並にこれに関する登記法の解釈はすべて正当である。又被上告人の本件家屋の明渡請求をもつて権利の濫用と解することはできないとした原判決の判断も正当である。その余の論旨は「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。(原判決は本件について抵当権設定の事実を認めたものでなく、所論第一小法廷の判決は本件に適切でない。)

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 池田克)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例